ジュズダマ.jp |
【 病害虫とその他の虫について 】
ここでは病害虫についての情報と説明を掲載しています。一般向けの対処方法についてはジュズダマ栽培のアドバイスの病害虫についてを農薬に関してはジュズダマの栽培に関する農薬についてをご参照下さい。 ジュズダマに発生する病気は文献で確認できる病気が現在5種あります。(日本本土において)ハトムギに発生する病気と基本的には同じとみられますが、ジュズダマとハトムギとでは同じ病気でも耐性に違いがみられます。 またジュズダマには殻に発生する特有の病気がいくつか見つかっています。ジュズダマに発生する病気は何れも詳しい研究がされておらず詳しい事は不明です。 害虫についてはアワノメイガについては大きな被害が出るので多くの情報と文献がありますが、アワノメイガ以外は大きな被害が出ないせいかほとんど注目されておらずアワノメイガ以外の害虫に関しては詳しい事は不明です。 【 病気について 】 いもち病 病原菌:Pyricularia (複数種存在未特定)、不完全菌 ジュズダマに発生する病気で一番厄介な病気です。一度発生すると農薬を使わないと撃退できず、撃退しないと毎年発生します。
ジュズダマに発生するいもち病に関しては詳しい研究がなされておらず詳しい事は不明です。 ハトムギのいもち病に関する調査でジュズダマに発生するいもち病は大きな被害は発生しないという記述がありましたが、当方の栽培においては症状の酷い株は収穫できなくなるなどの大きな被害が発生しています。 当方の栽培において発生しているいもち病はベンレートが効かないベンレート耐性菌のようです。いもち病に対する農薬は種類がありますが、他の薬剤にも耐性を持った耐性菌がいるかもしれません。 ベンレート耐性菌のいもち病は竹や笹にも感染するタイプです。
モザイク病 病原菌:Sugarcane mosaic virus (SCMV)、ウイルス 葉枯病 病原菌:Pseudocochliobolus nisikadoi Tsuda, Ueyama et Nishihara、子のう菌 黒穂病 病原菌:Ustilago okudairae、担子菌 病原菌:Ustilago coicis、担子菌 黄化萎縮病 病原菌:Sclerophthora macrospora、卵菌 モザイク病、葉枯病、黒穂病、黄化萎縮病の4つの詳細については「イネ科牧草病害編 ジュズダマ(Coix)の病害」を参照して下さい。リンクは下記参考文献欄にあります。 連作障害 作物のように連作障害が発生します。同じ場所に連続で植えると生長が著しく悪くなります。 【 害虫について 】 アワノメイガ と イネヨトウ 終齢幼虫の体長は20mmくらい。6月頃から発生し、年に3期発生するので一度発生すると繰返し発生する事が多いです。 アワノメイガは地上部の真ん中より高い位置、イネヨトウは地上部の真ん中より低い位置に発生する事が多いようですが被害の状態が非常によく似ている為、見分けはつきにくいです。 アワノメイガはトウモロコシの匂いにひかれて飛来するらしく近くでトウモロコシが栽培されている場合にはアワノメイガが飛来する確率が高いです。逆に近くでトウモロコシが栽培されていない場合にはアワノメイガはあまり発生しないようです。 これに対しイネヨトウは近くにトウモロコシがある無し関係なく発生します。 イネヨトウは地上部の低い位置の茎の芯を食べてしまうので一番被害が大きいです。 お詫び 今までは幼虫をよく調査しなかった為、全部アワノメイガの被害だと思っていましたが、半分くらいはイネヨトウの被害の可能性が高まりました。 詳しく調査し詳細が分かり次第アワノメイガの説明文を修正します。(2020.04) 一部説明文を追加・修正しましたが現在も調査継続中で詳細が分かり次第説明文を修正します。(2023.03)
イネヨトウはほとんどの場合が進入した穴から下に向かって食害進行して行きます。 イネヨトウは茎の芯を食べてしまうのでイネヨトウの食害に遭った部分より上は助かりません。 食害に遭った部分を残すより刈取った方が上部の再生長を促します。 9月以降に発生するイネヨトウは根元に近い場所に進入します。 イネヨトウは最終には根茎に食害進行し根茎の中で幼虫態で越冬します。11月頃に根茎に移動します。 根茎で越冬したイネヨトウの幼虫 イチモンジセセリ 終齢幼虫の体長は45mmくらい。葉を巻くように丸めてまゆを作ります。ジュズダマには秋に発生します。
クロコノマチョウ 終齢幼虫の体長は45mmくらい。ジュズダマには秋に発生します。 イチモンジセセリもクロコノマチョウもハトムギにも発生するとみられますが、発生時期が収穫期を迎えている時期で収穫量に影響が無いので害虫扱いされていないようです。 メイガ (種は未特定) 終齢幼虫の体長は10mmくらい。殻の中の実を食害します。 殻の口辺りに卵を産みつけて殻の中で幼虫期を過ごすとみられます。蛹になる時に殻から出てきて糸を吐いてまゆを作ります。12月頃に殻から出てくるので収穫後に沸いて出てくる形になります。 ハモグリバエ ハモグリバエによる影響は全く分かっておらず不明です。 ハモグリバエによる食害 バッタ類 イナゴやトノサマバッタなどのバッタ類による食害も良くあります。幼虫のようにその場に居続ける訳ではないので収穫量に大きな影響はありませんが生長に影響がある程に食害される事があります。 ツチイナゴによる食害 アブラムシ 春から初夏に発生するアブラムシにはジュズダマを枯死させてしまう程に害を及ぼす種がいます。まだ不明な点が多く病原菌の媒介などの可能性も否定できない状況で詳しい事は分かっていません。 夏以降に発生するアブラムシは収穫量に影響は無いようですが、殻も葉も油で汚れます。 カメムシ ジュズダマの液汁を吸っているとみられますが、吸っている瞬間を観察できた事が無いので不明です。 ヨコバイ ジュズダマの液汁を吸っているとみられますが、吸っている瞬間を観察できた事が無いので不明です。 沖縄には本土には居ない昆虫がいる事から本土には居ない害虫がいるかもしれません。 【 その他の虫について 】 カマキリ カマキリはジュズダマの葉を食べにやって来るバッタ類を捕食する為に葉の裏に隠れて待ち伏せします。ジュズダマにとっては益虫です。 バッタ類を待ち伏せするカマキリ 他にもジュズダマにやって来る昆虫は色々いますが、ジュズダマとの関係性は分かっていません。 |
【 参考文献 】 石田喜久男. 1981. ハトムギ -つくり方と利用法- 農山漁村文化協会 農林統計協会. 1981.3 牧草病害編 8号 イネ科牧草病害編 ジュズダマ(Coix)の病害 p.413-416 AgriKnowledge https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2039016403 農研機構 飼料作物病害図鑑 http://www.naro.affrc.go.jp/org/nilgs/diseases/dtitle.html ウィキメディア いもち病の防除 https://ja.wikipedia.org/wiki/いもち病 農業用農薬 Syngenta いもち病の実態と効果的な防除対策 http://www.syngenta.co.jp/cp/columns/view/?column_id=167 オリゼメートの総合情報サイト いもちの素性を知る https://www.meiji-seika-pharma.co.jp/oryze/imochi-feature/ 病害虫・雑草の情報基地 稲の病害虫と雑草 http://www.boujo.net/handbook-01 当サイトはまだ未完成の状態で掲載情報は継続的に追記更新しております。 新たな事実が判明した場合などに当サイトの情報を修正する場合がありますので当サイトの情報を利用・引用されます場合にはご注意下さい。 掲載内容に対するご指摘や掲載してほしい情報等があります方はお問い合せフォームからどうぞ。
© 2016-2023 広井孝一
|